弱音は許さない!

2015年2月18日 水曜日
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名護市を中心とした沖縄県北部で毎年行われる『ツール・ド・おきなわ』。二日間計19レースが実施されるという、この地域きっての巨大イベントだ。
神田佳代さんと拓飛(たくと)くん親子は、『恩納村ファミリーサイクリング 70km』の部に参加した。
 「参加するきっかけは、息子が10歳を迎えたことでした。1/2成人式ということで、記念に何かをしようということになったんです」
 その何かが70kmのサイクリングだなんて…。

「家から古宇利島まで11kmあるんですが、息子はそこまで自転車で行ったことがあるんです。そして1周6kmの島をグルッと回って帰ってきました。そういう経験があったし、私もいっしょに参加するからということで、エントリーをしました」
 
 神田さんはエアロビクスをしており、ロッククライミングの経験もあるスポーツウーマン。拓飛くんは運動好きの水泳をこよなく愛するスイマー。だが、拓飛くんは弱音を口にしやすい子なのだという。この“気質”を気にしていた母は、これを機に少しでも改善したいという気持ちが強かった。
そしてこれこそが『恩納村ファミリーサイクリング 70km』の部に参加した裏テーマでもあったのだ。
 
 拓飛くんの弱音は登り坂で起きた。平地のようにスイスイ進むことができず、力を込めて自転車をこぎ続けなくてはならない場所だ。
「登り坂になると、拓飛は『降りたい』と言うんですよね。私は後ろからついていき『降りていいのは休憩所だけ』と返事をします。すると今度は『しんどい』と。すぐさま『お母さんもだよ』と言い返します。また、拓飛よりも小さい子も参加していたので、『あの子も頑張っているよ』と言って、『じゃあ、頑張る』と。そんなやり取りをしながら、登り坂を進んでいきましたね」
 
 拓飛くんは決して体力のない子どもではない。むしろあるほうだ。その証拠に休憩所に入ると、母はマッサージやストレッチで体力回復に努めるのに、疲労した様子もなく爽やかにチョコやジュースを口にするのだから。
 
 後半に入ると、まさかの展開に…。なんと神田さんが遅れだす。
「後半は拓飛のほうが速かったです。私は登り坂で追いつき、平地で引き離される感じでした。拓飛が『待っていようか』と声をかけるのですが、『止まってしまうからダメ』と言いました。我慢して進んでいけば、いつかは自分が優位になる時が来るから、あきらめずに進み続けなさい。何事のあきらめないことが大事と息子に言い聞かせたと思います」
 
 最後は母が踏ん張ってペースを上げ、二人で併走しながらゴールした。
「『できたね』と言ったら、『やっと終わったよ』と答えていましたね」
『恩納村ファミリーサイクリング 70km』に参加した子どもは、近所では拓飛くんだけだった。しかも完走したことで、翌日からしばらくはいろんな大人たちから「偉いね」「凄いね」とたくさん声をかけられた。さらに、拓飛くんの友達のお兄ちゃんは「小学生の拓飛が70kmを完走したのなら、中学生の僕は来年100kmに出る」と刺激を受けたという。
 
 神田さん曰く、10歳の節目は拓飛くんのチャレンジの年と定めている。今回以外も、神田さんの実家がある大阪へ行ったときは登山にも出掛けた。
ダメだと諦めず、挑戦する人間になってほしい。乗り越えれば達成感を得られるし、まわりからも評価される。母の切なる思いはスポーツを通して伝えられている。
10年後、本当の成人式を迎えたときはどんな大人に成長しているのか。今から楽しみである。
 
(文責:ライター金子塾 滝沢)
 

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